ユネスコ生涯学習研究所

「ナショナル・レポ−トのためのガイド・ライン」(2007年12月)

(訳 荒井容子 社会教育推進全国協議会 常任委員・国際担当, 法政大学)  pdfファイルはコチラ

 

The UNESCO Institute for Lifelong Learning (UIL)

‘Guidelines for the Preparation of National Report’

Japanese version: Translated from English into Japanese

       by Yoko Arai, Japan Association For Promotion of Social Education (JAPSE)

 

解説comment)

 

以下は第6回ユネスコ国際成人教育会議(2009年5月)の準備過程で、ユネスコが各国に求めているナショナル・レポ−トについて、その準備のためのガイド・ラインとしてユネスコ生涯学習研究所が各国(ユネスコ国内委員会他)に送付した文書です。

ユネスコ生涯学習研究所のホ−ムペ−ジに掲載された2008年1月18日付記事によれば、このガイド・ラインはナショナル・レポ−トの準備を促進するために、同研究所が用意したもので、同研究所で2007年11月に行われた、ConfinteaY(第6回ユネスコ国際成人教育会議) のための協議会(諮問会議)において、そのグル−プによる専門的知識や助言を得て完成させ、12月中旬(15日)に、ユネスコ加盟各国(国内委員会と常任の代表者)に送付されたものとのことです。

また、この送付に先立ち、2007年11月15日付で、ユネスコ事務総長からも、第6回ユネスコ成人教育会議の準備のために、各国でナショナル・レポ−トを作成し、提出することを求める手紙が各国(ユネスコ国内委員会宛)に送付されています。その手紙では、すぐ後に、同会議の準備を主導しているユネスコ生涯学習研究所から、ナショナル・レポ−ト準備のための内容及び技術的支援が提供されるとの旨も伝えられています(ユネスコホ−ムペ−ジにアップされている同手紙より)。この手紙の中で書かれている、ナショナル・レポ−トの提出を求める趣旨は、以下のガイド・ラインに書かれている趣旨とその内容はほぼ同じです。

以下のガイド・ラインはユネスコ教育研究所のホ−ムペ−ジからpdfファイルで簡単にダウン・ロ−ドできます。英語、フランス語、スペイン語版があります。ホ−ムペ−ジ上に掲載されているこのpdfファイルのマ−クの下には“Guidelines for the Preparation of National Report”「ナショナル・レポ−ト準備のためのガイド・ライン」と英語で書かれています。

上述のユネスコ生涯学習研究所ホ−ムペ−ジ2008年1月8日付記事の中では、このガイド・ラインが各国のユネスコ国内委員会等に送付されたあとすぐに、国際成人教育協議会(ICAE イカエ)のメンバ−にも配布されたことも記されています。

 社会教育推進全国協議会(社全協)はICAEのメンバ−組織として、ICAE事務局からこの情報を11月末に入手しました(荒井は社全協のコンタクト・パ−ソンとしてこの情報を得、すぐに12月の総会後の会合及び常任委員会で報告しました)。その後、2008年1月5日にICAE事務局よりこのガイド・ラインのファイルの送付を受け、1月末の常任委員会での報告を経て、社全協としての対応を検討してきました。

このガイド・ラインではレポ−トの締め切りは2008年3月末となっていましたが、その後、提出締め切り時期が4月末と一ヶ月延期になりました。ユネスコ生涯学習研究所ホ−ムペ−ジ掲載の2008年2月15日付記事、及び同ホ−ムペ−ジにアップされました、同研究所長から各国ユネスコ国内委員会宛にだされた同日付の手紙では、このナショナル・レポ−トを準備する過程を活用して、幅広い多様な関係者による、国レベルでの討議の場をつくる必要が強調され、その上で、いくつかの国内委員会から期日を延期しほしいという要請があったので、推奨する準備過程のためには、国レベルのワ−クショップなど、十分な時間を提供することが必要であることを鑑み、期限を一ヶ月延長することにしたと書かれています。

社全協では、この提出期限延長の情報をICAE事務局から2月末に受け取りました。またすでに1月から、各国のNGO関係者がこのガイド・ラインの趣旨を踏まえて、各国ユネスコ国内委員会や担当省庁に、共同の準備に向けた働きかけをしている情報も、やはりICAE事務局を通じて、少しずつ入手していました。

そこで荒井は、社全協常任委員の国際担当として、すでに常任委員会での承認も得ていたため、3月10日、日本ユネスコ国内委員会にはじめて連絡をとりました。しばらくお返事がなかったため、再度、お返事がほしいとのご連絡をしたところ(3月20日)、そのときは同委員会事務局からすぐにお返事をいただきました。しかし、同委員会及び担当省ではまだ準備方法・対応について方針が固まっていないとのことでした。そこで是非、多くの関係者による会議を設けてほしい旨をお伝えし、ご連絡をお待ちすることとしました。現在は、もう延長された提出期限もすでに過ぎてしまいましたが、まだご連絡がないため、再度、どのような状況かお尋ねしつつ、今なお、お返事をお待ちしている状況です。

たとえ締め切りに間に合わなくとも、このナショナル・レポ−ト作成と、そこに示唆されているガイド・ラインの方針は、国内の多様な立場の社会教育関係者が議論し、国内の社会教育政策のあり方について考え、提案していくうえで、とてもよい機会になると考えられます。そこで、第6回ユネスコ国際成人教育会議のこと、この会議にむけたナショナル・レポ−トのこと、そしてそのためのこのガイド・ラインのことを日本の多くの方に知っていただくために、このガイド・ラインを日本語に翻訳して、ホ−ムペ−ジにて提供することにしました。この翻訳・情報提供が、社会教育推進全国協議会の会員の方はもとより、日本の社会教育の発展を願っている多くの方々が、この機会を日本の社会教育の豊かな発展に活用するきっかけになり、あるいはそのような新しい動きが生まれるきっかけになることを願っております。

すでに他の国々では、4月の早い段階で、ナショナル・レポ−トを提出したところもあり、これらはユネスコ生涯学習研究所のホ−ムペ−ジにアップされています。また、他のさまざまな国で、ここ1〜2ヶ月の努力が実り、多様な関係者による会議の開催に至り、その成果をもとにナショナル・レポ−トをまとめて提出したり、あるいは今、まとめの最終段階にきているとの報告も、ICAE事務局を通じて受け取っています。

今後、それらの情報も少しずつ、翻訳・要約してご紹介します。

なお、ICAEは今、このConfintea Yでの会議に向けて、現代の成人教育の課題について、各国NGO関係者が討議するバ−チャル・セミナ−を開催中です。すでに終盤になっていますが、この様子も今後、少しずつ紹介していきたいと思います(直接その議論を読みたい方は、英語、スペイン語、フランス語ですが、ICAE事務局がそのホ−ムペ−ジにアップしておりますので、是非、ご自身でアクセスしてみてください)。

2008/05/11 荒井容子 

社会教育推進全国協議会〔社全協 JAPSE〕常任委員 国際担当, 法政大学)      

      

     訂正 日本社会教育学会の常葉−布施美穂理事(国際交流担当)からstate of the artの翻訳ミスを指摘していただきました。また、B)見出し文の原文そのものを勘違いして訳していることが分かりました。そこで以下の翻訳について、該当部分を訂正しました。申し訳ありませんでした(訂正箇所 タイトル、A)の4、5、B)見出し文、末尾見本表紙)。なおICAEのバ−チャルセミナ−は、5月17日49通目の閉会メッセ−ジで終了しました。この間、全世界から697名が登録参加したとのことで、また概要も近々ICAE事務局がホ−ムペ−ジにアップするとのことです。このメッセ−ジや概要も含め、先述のように、このホ−ムペ−ジでもその内容を紹介していく予定です。2008/05/28

     訂正 「解説」の誤字脱字を訂正しました。2008/06/11

     訂正 翻訳ミスを訂正しました(以下)。2008/07/29

A) 1. 6 行目「NGO/CSO(地域社会組織)」→「NGO/CSO(市民社会組織)」

     訂正A) 3.3行目「(LIFE)」挿入(既述落しの訂正)。2008/08/12

     訂正 翻訳ミスを訂正しました(以下)。2008/09/01

A) 2. 3 行目「未来にむけての戦略(アジェンダ)」→「未来にむけての行動指針(アジェンダ)」

A) 8. 4 行目「全国会議によって実効力ある指標を獲得すること」→「全国会議によって承認された結論を得ること」

     訂正 翻訳ミスを訂正しました(右記)。A) 8. 2 行目「協同組合」→「企業」2008/09/04

 

 


本文 (text)

 

ユネスコ生涯学習研究所「ナショナル・レポ−トのためのガイド・ライン」(2007年12月)

原文 英語、日本語訳 荒井容子(社会教育推進全国協議会 JAPSE, 法政大学)

6th International Conference on Adult Education (CONFINTEA VI):

National Report on the Development and State of the Art of Adult Learning and Education (ALE)

第6回国際成人教育会議(CONFINTEA W): 

 成人の学習と教育に関する発展と到達水準についてのナショナル・レポート

 

A)

 

1.      第6回国際成人教育会議(CONFINTEA W)は、成人の学習と教育に関する政策上の対話と及び政策上の評価のための、ユネスコ主催の国家間会議(カテゴリーU)であり,20095月にブラジルで開催されます。この会議に先立って、2008年中にはリージョンごとの準備会議が開催されます。ユネスコを代表して、またユネスコ本部及び各地の関連するユネスコ事務所との密接な協力のもと、また、成人教育を担うさまざまな立場の人々(国連機関、NGO/CSO(地域社会組織)、労働組合、協同組内、民間成人教育実践者)とのパートナーシップのもと、ユネスコ生涯学習研究所はCONFINTEA Wに向けた準備過程を組織しています。

 

2.      1949年以来、5つの国際成人教育会議がユネスコによって開催されてきました。最近のCONFINTEA19977月にドイツで開催されましたが、これは二つの文書: 「成人の学習に関するハンブルク宣言」と「未来にむけての行動指針(アジェンダ)」の採択に至りました。これらの文書は、成人の学習と教育を、現在の社会的な、そして発展のための課題を世界規模で提起する緊要な道具として確認しました。

 

3.      CONFINTEA Yの目的は、万人のための教育(EFA)とミレニアム開発目標(MDGs)の達成にとって、また知識経済及び学習社会の構築において、他の、教育と開発に関わる主要な国際政策枠組、特に、エンパワーメントのための識字推進(LIFE)や、国連識字10年(UNLD)や、国連持続的発展のための教育10年(DESD)と同様に、成人の学習と教育が果たす非常に重要な役割を強調することによって、成人の学習と教育に対する国際的な勢いを再興していくことにあります。


「成人教育は…略…学習の過程全体を意味する。その人が属している社会から成人とみなされている人びとは、この成人教育によって、自分の能力を発達させ、知識を増やし、技術や職業上の資格を高め、あるいは、彼ら自身の要求や、彼らの社会の要求に適合するように、能力・技術等を新しい方向に変化させる。」(「成人の学習に関するハンブルク宣言」CONFINTEA V19977月、で採択)。

(訳注※『月刊社会教育』1997年12月号掲載の藤田秀雄・荒井容子訳より抜粋。)

 

4.      この目的のため加盟国は、1997年(CONFINTEA X)以後の成人の学習と教育における発展について、成人の学習と教育に関する現在の到達水準と今後の課題について、ナショナル・レポートの準備をすることを求められています。ナショナル・レポートは、全関係者の国際会議にとって、またリージョンごとの準備会議にとって、もっとも重要な検討材料となるでしょう。ナショナル・レポートはまた、CONFINTEAYでの討議文書の基盤を提供することになるでしょうし、また、成人の学習と教育に関するグローバル・レポートに対して批判的データを付け加えることになるでしょう。

 

5.      各国における成人の学習と教育に関する到達水準を査定することは、EFA(万人のための教育)に関する国の目標(アジェンダ)の前進を査定する、優れた機会を提供することにもなり、また特に、第3目標(適切な学習及び生活技術教育プログラムによってすべての若者と成人の学習必要を保障する)、第4目標(成人識字のレベルを50%改善する)、第5目標(教育におけるジェンダー上の平等を達成する)、第6目標(教育の質を改善する)に特に関係して、情報格差を埋めるのに役にたつでしょう。

 

6.      ナショナル・レポートはさらに、識字、ノン・フォーマル教育、成人の学習及び生涯学習において、政策、調査指標、効果的実践のデータ・ベース、これは今、UILによって開発されているわけですが、そのデ−タ・ベ−スを広げるのに役に立つ情報を生み出すことになるでしょう。なお、ナショナル・レポート全体はCDとして、またWeb上で入手可能となります(公開されます)。

 

7.      成人の学習及び教育はそもそも多様に広がっているため、一貫し、かつ比較可能な質のよいデータがしばしば不足しています。従って、全体状況についての査定には多様な情報源からの情報やデータが必要となります。あなたのナショナル・レポートを準備するとき、どうかあなたの国の多様な情報源を考慮してください。また、政府の(教育、労働、健康、農業、ジェンダー、文化、スポーツとレジャー、社会福祉、財政と経済、外交に関わる省庁を含む)、また非政府の、公的・私的な行為者と、労働組合と、社会的パートナーと、二国間及び多国間の開発機関とが協力し合う取り組みを、つくってください。

 

8.      この取り組みを利用して、すべての関係者(成人教育を提供しているさまざまな省庁、協同組合や労働組合、非政府組織や市民社会組織、民間の提供者、国連関係機関、二国間及び多国間開発機関などを含む)を捲き込んだ、国ごとの対話を創り出すことが重要です。従って、私たちは全ての関係者それぞれからの代表者による全国協議会の力を借りて、この作業を行い、全国会議によって承認された結論を得ることを推奨します。

 

9.      可能であれば他の文書(1997年以降に作成された)や成人の学習と教育にとって不可欠な背景に関する情報を、ナショナル・レポートに資料として添付してくださるとありがたいです。

 

10.  何か質問がある場合は uil@unesco.orgに送付して欲ください。報告(ナショナル・レポート)はユネスコ生涯学習研究所に2008331日までに、それぞれのユネスコ地方(リージョン)事務局(アフリカ教育リージョン事務局: dakar@unesco.org アラブ諸国リージョン事務局: beirut@unesco.org アジア南太平洋リージョン事務局: bankok@unesco.org ラテンアメリカ・カリビアンリージョン事務局:  Santiago@unesco.org)宛の同様の文書とともに、提出してください。

 

 

 

B)成人の学習と教育の状況に関するナショナル・レポート準備のためのガイド・ライン

 

以下の構成は、各国がそれぞれの国の状況を表す手助けとなることを願って提示します:

 

T.概観

成人の人口数と全人口に締めるそのパーセンテージを、複数の分類項目−性、雇用状態(自営も含む)、都市・農村の分布、言語別、人種別等−ごとに示しつつ、あなたの国の簡単な概況を提示してください。

U.成人の学習と教育に関する以下の部門について詳しく書いてください。

1.       政策、法律、財政

     1.1. ALE(成人の学習と教育)の法律上、政治(政策)上、行政上の枠組み;

     1.2. ALE(成人の学習と教育)の財政;

2.       成人の学習と教育の質: 提供、参加、達成

     2.1. ALE(成人の学習と教育)の提供と制度上の枠組み;

     2.2. ALE(成人の学習と教育)における参加

     2.3. プログラムの検査(監視)及び評価と学習成果の査定;

     2.4. 成人教育者/ファシリテーターの地位と訓練

3.       調査(研究)、革新、優れた実践

     3.1. 成人の学習分野における調査研究

     3.2. 革新と優れた実践の事例

4.       成人の識字

5.       CONFINTEA Yへの期待とALE(成人の学習と教育)の将来展望

 

 

 

1. 政策、法律、財政    

 

1.1. ALE(成人の学習と教育)の法規上、政策上、行政上の枠組み

このパートではALE(成人の学習と教育)の法規上及び政策上の状態についての簡潔な描写を行ってください。

1.1.1.      あなたの国でのALE(成人の学習と教育)は、法規上及び政策上、どのような環境におかれていますか。1997年(CONFINTEA X)以後、ALE(成人の学習と教育)に関係しているどんな政策と法律が実施・制定されたか提示してください。

1.1.2.      あなたの国ではALE(成人の学習と教育)の主要な目標はなんですか。

1.1.3.      政府機関の中では、ALE(成人の学習と教育)はどのように組織されていますか。どの省庁(一つまたは複数)が責任を負い、関わっていますか。ALE(成人の学習と教育)は中央集権化されていますか。それとも分権化されていますか。どのように中央集権化、または分権化されています。

1.1.4.      (諸機関が)連携した政策及び実行計画はどうなっていますか。例えば以下のようなことと関わって:

・ 他の部門(健康、経済、労働、農村開発、その他)での政策;

       ジェンダー上の平等、社会的統合、積極的市民性、文化及び言語上の多様性のような他の諸目標;

       知識経済の創造と(または)学習社会の建設;

       国の開発の計画及び戦略;または貧困削減戦略文書の中で;

1.1.5.      あなたの国における開発上の主要な課題はなんですか。それらの課題と関わって定められたALE(成人の学習と教育)の目標はどういう状況ですか。

1.1.6.      ALE(成人の学習と教育)に影響を与えている、実効性ある他の諸政策がありますか。

 

1.2. ALE(成人の学習と教育)財政

財政(資金提供)はしばしばさまざまなルートで行われます。全体像をつかむために、以下の部門ごとの近年のデータを提示し、1997年(CONFINTEA X)以降の傾向を描いてください。

1.2.1.      ALE(成人の学習と教育)における公的投資

 a) 教育部門の中で成人教育に配分された予算の割合(手段、活動、責任組織を明記してください)

  b) 他の諸部門から、その諸施策の中で直接または間接的に、ALE(成人の学習と教育)に配分された予算の割合(責任組織を明記し、事業内容を説明してください。)

  c)  分権化された/地方の予算の中でのALE(成人の学習と教育)(地方の政府と責任者、市町村自治体、コミュニティ)

  d) その他の投資、例えばリ−ジョン基金や国の枠を超えた組織などからの投資

1.2.2.      ALE(成人の学習と教育)における外国の二国間/多国間資金提供者による投資

 ・ 年間の額と主要な地域/活動のリストを挙げてください。

1.2.3.      民間/企業セクターからのALE(成人の学習と教育)への支援

 ・ 企業セクターによる年間支出のデータを示してください;例えば、国の予算全体や、特定の国内の、また多国籍の企業からの出資全体との関係についても示してください。

1.2.4.      市民社会からALE(成人の学習と教育)への支援(例えば宗教団体、労働組合、NGOなど)

1.2.5.      学習者たち/諸個人によるALE(成人の学習と教育)への支援

1.2.6.      ALE(成人の学習と教育)を支えるための、何か特別な、直接または間接的な資金援助による動機付けの仕組みがありますか。例えば学習バウチャー、奨学金、有給教育休暇、特別基金、資金提供計画(funding schemes)等のような。

1.2.7.       ALE(成人の学習と教育)への資金援助と関わる、既存の(有効な)指標〔ベンチマーク〕(ターゲット)はありますか。あなたの(国の)の状況では、ALE(成人の学習と教育)への資金援助として、何が現実的な指標だと思いますか。

 

 

2. 成人の学習と教育の質: 提供、参加、達成


2.1. ALE(成人の学習と教育)の提供と制度上の枠組み

この部門では、組織、調整、経営、使用可能な基盤という視点で、ALE(成人の学習と教育)の提供について説明してください。優れた実践の結果生まれてきた、1997年(CONFINTEA X)以降の主要な傾向に焦点を当て、それを立証してください。

2.1.1.      国のレベルでは、ALE(成人の学習と教育)を運営し、調整する責任を負っているのはどの諸機関ですか。

2.1.2.      以下の項目を含む、あなたの国のALE(成人の学習と教育)プログラムを、以下の表を用いて列記し、簡潔に説明してください。 

a)       ALE(成人の学習と教育)多様な性格の提供者(政府、非政府、企業/民間;高等教育も含む)

b)       それらの提供者が焦点を当てている学習分野

c)        それらのプログラムが対象としている階層(グループ)(もし分かるなら、年齢、性、被雇用状況、)

d)       それらのプログラムにかかる年間費用を提示してください。また、

e)        (それらのプログラムの)資金提供元を示してください。

 

表1

事業

(名称と概要)

a)主催者(以下の中から対応するものを選んでください。)

b)学習の種類(以下の中から対応するものを選んでください。<複数可>)

c)目標

d)事業費   ※1

e)資金源   ※2

 

公的機関/国

市民社会組織/NGO   ※3

民間     ※4

一般的能力

技術

知識の増加、

革新

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訳注 ※1 事業運営にかかった費用と考えられる。

※2 事業費調達先・調達方法と考えられる。

 NPO含むと考えられる。

※4 個人及び、左記以外の民間団体 営利企業等を含むと考えられる

 

2.1.3.      フォーマル・アプローチとノンフォーマル・アプローチの間に何かつながるルートがありますか(訳注 正規のプログラムと、非正規プログラムとを連結させる何らかのシステムがあるかどうか、という問いと思われる)。

2.1.4.      ALE(成人の学習と教育)は資格や国の表彰につながっていますか。もしつながっているなら、その事例を紹介してください。 

 

2.2. ALE(成人の学習と教育)における参加

この部門は参加者の割合、プログラムへの参加方法、そして対象となるグループ/学習者の動機及び経歴に関わるものです。次に示す分野で、ALE(成人の学習と教育)活動への参加に関する最新情報を紹介し、1997年以降の傾向を指摘してください。

2.2.1.  参加に関する統計データ

a)      参加割合全体(ALE(成人の学習と教育)活動への参加人口のパーセンテージ)と、以前の調査と比較した相違点を提示してください。性別、教育経験、年齢ごとに分けてくだいさい;

b)      特別なプログラム(可能な事例としては:識字/計算学習プログラム;健康学習プログラム(HIV予防を含む);収入増のための職業技術訓練;特別な学習要求に着目したプログラム(例えば、収監者、移民、障碍者の); 技術訓練(ICTを含む))における参加について紹介してください。可能なら、全参加者数と、齢別、性別に分けた数についての情報を提示してください。

2.2.2.  参加していない、また参加することが難しいグループについて、どんな調査研究が実施されていますか。だれが排除されているのか、何故排除されているのか、どんな種類の支援が可能かということに関わる主要な研究成を示してください。

2.2.3.  学習者の動機について、どんな調査研究が実施されていますか。

2.2.4.  学習者を励まし、参加を増やすめにどのような方法をとってきましたか。

2.2.5.  ALE(成人の学習と教育)機会の提供において、特に重点が置かれているグループがありますか。どのグループですか。

2.2.6.  参加に関わる指標として(有効に)用いられているものがありますか。もしあるとすればどんなものですか。もしないとすれば、あなたの国の状況では、何が参加に関わる指標として現実的ですか。

 

2.3. プログラムの検査(監視)及び評価と学習成果の査定;

どんな教育活動にとっても、学習成果の査定は極めて重要である。しかしながら、成人教育の成果を測ることは、成果が、個人的な発達、社会経済及び文化的要素や、能力及び態度も含む、広範囲にわたる側面と関係しているため、複雑です。このためこの部門は、プログラム及び個人のレベルを考慮した総合的な検査及び査定に目を配らねばなりません。

2.3.1.  ALE(成人の学習と教育)プログラム(国、地方、地域の視点/プログラムの視点)の、また学習者による達成(学習者の視点)の、学習成果について査定を行っていますか。もし行っている場合には、どんな方法を用いていますか。

2.3.2.  質の良さを保障するためにどのような道具やメカニズムを使って検査(監視)及び評価をしていますか。

2.3.3.  どの程度、a)法制度、b)政策策定、c)プログラム開発に、その(検査・評価)結果が用いられていますか。

2.3.4.  ALE(成人の学習と教育)の成果と関わって(有効に)用いられている指標があります。あなたの国の状況では、成果と関係する現実的な指標はなんですか。

 

2.4. 成人教育者/ファシリテーターの地位と訓練

この部門はALE(成人の学習と教育)のための可能な人的資源について精査し、この観点から1997年以降で重要な取り組みや変化について検討します。

2.4.1.  成人教育者/ファシリテーターにはどんな教育上の資格や訓練が求められていますか。どんな継続/現職訓練の方法が実施されていますか。

2.4.2.  成人教育は専門的職業と考えられていますか。また、そのような資格を提供する高等教育システムがありますか。もしあるのであれば、詳しく説明してください。

2.4.3.  あなたの国で教育活動に携わっている人々の数に対する、成人教育者/ファシリテーターの割合を示してください。

2.4.4.  ALE(成人の学習と教育)における雇用と報酬の条件(規定)は何ですか。

 

 

3. 調査(研究)、革新、優れた実践

 

3.1. 成人の学習分野における調査研究

この部門はALE(成人の学習と教育)分野での最近の研究の発展について検討します:

3.1.1.  あなたの国では近年(最近5年間)、成人教育の分野でどんな重要な研究がなされてきましたか。

3.1.2.  それらの研究によって提示された主要な諸問題は何ですか。

3.1.3.  重要な成果はなんですか。

3.1.4.  それらの成果はどの程度、政策及び実践につながりましたか。それはどのように実践に影響を与えましたか。具体例を示してください。

 

3.2. 革新と優れた実践の事例

1997年以降、成人教育において展開された改革及び(または)実験的プログラムで、あなたの国においてかなり特異で、また他の国にとって示唆的だと思われるものはどれですか。

3.2.1.      政策形成、財政、教育/学習方法について。

3.2.2.      学習者の動員、プログラム企画への学習者の参加促進、パートナーとしての学習者の登場について。

3.2.3.      何故あなたの国では、上記にあげられた事例が革新と考えられるのでしょうか。

 

 

4. 成人の識字

この部門ではAEL(成人の学習と教育)の中心分野の一つ、識字教育における、適切な変化・発展について取り扱う。成人教育は、より広い、包括的な識字といえるが、識字は他の種類の学習にとって事前に必要となるものである。それはすべての子ども、青年、おとなが、人生(生活)において直面するにちがいない課題に立ち向かうことを可能にする不可欠な生活技術を得るために必須であり、また基礎教育の不可欠な段階に相当し、21世紀の社会と経済に有効に参加するための不可欠な手段です。

 

国連識字の10年(2003-2012)

 

 2001年12月、国連総会は「自由としての識字」というスロ−ガンのもと、国連識字10年(UNLD)に乗り出した。UNLDは非識字の青年及び成人、とりわけ女性と少女、学校に通っていない子どもと青年の要求に焦点を当てている。UNLDは識字を生涯学習の基礎としてとらえる広い概念にもとづいて展開されている。これは教育及び学習のフォ−マル、ノン・フォ−マル、インフォ−マル形態の統合と、また識字環境の創造を含意している。

 

 ユネスコ、エンパワ−メントのための識字事業(LIFE)はUNLDを実施するためのグロ−バルな枠組みである。それ(LIFE)は既存の識字(教育)事業では2015年までに成人の識字レベルを50%改善するには十分でなことが明らかになったため、企画された。LIFEは識字率が50%以下か、または、読むことも書くこともできない人が1000万人以上いる国35カ国を対象としている。

 

4.1.なたの国では識字はどのように定義されていますか。1997(Confintea X)以後、何か変化がありましたか。説明してください。

4.2.どんな新しい施策が採用され、実施されてきました。

4.3.効果的な実践や革新的な識字教育プログラムの事例をご紹介ください。

4.4.政策やプログラムはどのようにジェンダ−に配慮しているか教えたください。女性や他の特別な集団に焦点をあてることの重要性について、説明してください。

4.5.政策やプログラムは識字環境をつくることをどの程度、その課題として位置づけていますか。どんな進展がありましたか。

 

 

5. CONFINTEA Wへの期待とALE(成人の学習と教育)の将来展望

この部門はCONFINTEA Yに対するあなたの国からの基本的な期待と、あなたの国で今後取り組む必要がある、主要な課題に焦点が当てられます。


5.1.CONFINTEA Yにどのような成果を期待していますか。

5.2.成人教育がこれから取り組むべき主要な課題を列記し、また、成人教育及び成人の学習における政策と実践の発展のための今後の見通しを描いてください。

 

 

 

C)報告の提出

メンバー国は2008331日までに届くように、電子メールで添付ファイルとして、UIL(アドレス: uil@unesco.org)に送ってください。合わせて、該当するユネスコ地方事務局にもそのコピーを送ってください(アフリカ: Dakar@unesco.org; アラブ諸国: Beirut@unesco.org; アジア及び南太平洋: Bangkok@unesco.org; ラテンアメリカ及びカリブ諸国: Santiago@unesco.org)。

 

報告が英語、フランス語、スペイン語以外の言語で作成されている場合には、少なくともこれら三つ言語の一つによる別の版も提出していただけるとありがたいです。

 

1. 報告のための準備に用いた参考文献の書誌情報は、個人または集団の著者名、題名、出版地、出版社、出版年月日、頁数を入れてください。もし文書や印刷物のタイトルが英語、フランス語、スペイン語ではない場合には、これらの言語の一つに翻訳されたタイトルをつけてくださるとありがたいです。

2. 目録作成を容易にするため、表紙は以下のような形式にして提出してください。

 

成人の学習と教育に関するALE)発展と到達水準

[あなたの国]のナショナルレポ−ト
著者
[正式な著者]

[発行者−レポ−トが公刊された場合]
[日付]

 

 

(訳: 荒井容子 社会教育推進全国協議会 常任委員 国際担当, 法政大学)


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更新 2010/ 6/3 (from 2008/05/11)

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